ふーんと唸って、あいつは皿の上にあるコーカサス料理を端から順に吸い上げていった。ローズマリーの茎を取り除かないタイプの料理人ね、つまりはマッチョイズム、大胆な容姿を殊更に褒めそやす旅団の一味に君もなるか?
今日も規定数のドリブルを終えて、彼は後半戦のさなか学帽を深く被り直し、グラウンドを後に、街を後に…空を越え…月の入り江に手をかけて…そこで目が覚めた。びっしょりと濡れたシーツは水遊びの余韻かもしれない。洗面台の灯りに照らされた顔が僕のものと少しずつズレていく音が聞こえる。ゴム風船を乾いた指でゆっくりと執拗に擦り上げるような、小舟の軋みにも似たその音で猫が目を覚まし長い夜がいっそう深まっていくのを感じる。黒紫色の夜空、バイパスの遠吠え。
長いこと夜に手紙を書いていないものだから、思いがけないところで筆を誤った。生きていて生きて、強く、というか歯医者さんが怖いので通信を切りたい。いかがか。