おどろいたな。
雑踏の中から這い出てきて、拳をあげ歌う同胞を俺は求めているのであって、鼻から重力の理屈の異なる異星人なぞお呼びではないのだが…。
「父も母もたまたまそうだったから、僕も路上ではパンツから上、何も履かない」ってんだろ?その程度の男がたまたまの魔力で愛を歌うなんて、どだいおかしな話だったんだ。わかるか?
俺は二度見を千回は禁じた。だけど犬、コマドリを咥えて売店まで傍目もふらず走る犬、お前だけは私の心に通い詰めて、どうやら金科玉条を心得たようだ。第二指の隙間からフラクタルが溢れ出てくる。小さな小さな社会構造のメタファーだ。
いつかこうして鉤括弧から解き放たれた英雄たちが錨を下ろして横になるように、私も坪庭にイスラムの美学を整えて腰から下を砂に埋めたあたりで、満足してしまう。フェンネルの薫香以外この町には要らない。だから走れ湯屋に、君の汗は懲戒処分を免れ得ない。三つ編みも根本から解いてしまいたまえ。
迫害が板についた官吏どもをお勝手に立たせ飽いて、いざショッピングモールに出かけようとしても、詮ないので、ローキックの方が早口だ。いつだって卒業証書から始まる恋がある。老父が腹蹴られ、腹蹴られしている内に新しい管が甍を目指して伸びていく。もうすぐ春だね。幻聴はうんざりだ。足元の靴以外見るべきものは何もない。落とし穴も雨も、原罪も手鞠も、手を尽くしたようだがかつての張りは望むべくもない。お休みの時間が近いのだ。腐りかけのベーコン、美味しそうだね、カラスミも、美味しそうだね、ふいごの中に唾いっぱい目の中に涙いっぱい、口の中は嘘いっぱい、耳の中は愚にもつかない噂話いっぱい。もう、やんなるね。
鳥だけが鳥じゃない、犬だけがそれを知っている。猫は知らない。魚は知るわけがない。どうしても話しておきたいこと、湖畔でどうか?抜け駆けの気質を受け継いだ君らの一族に僕の血を少し分けてみたくなっただけだ分けてみたく…ほんとだぜ?
海はいらないから、かわりにもう一度錫杖を鳴らして欲しい。前輪しかない自転車で灰が雨を目指して帆を張り上げるんだ。