笑いが起きているように見える。私には聞こえてこないので、わからなかった。冷凍されたものをそのままフライヤーに放り込んで、過剰なまでに振られた胡椒と胡麻で汚された軟骨の唐揚げが目の前に置かれた。油を吸うためだけに漉かれ裁断された白い紙の存在に何かを見出そうとする。滲みは広がり、その縁を満たす瞬間の少し前、私は今日一日、まだ何もしていないことに気づく。
靴を脱いで上がり、下足入れに…入れた?過去の一連の所作の、なにひとつも思い出せないので、もし私が今、私と思う人間と異なった人間だとしたらどうしようか?おそらく答えは無言。居座ることを意図し続ける無言。未成熟卵の添えられたつくね、ねり辛子をつけて食べる。
咳払いをしそうだ、考えた刹那咳き込んでいた。どうも長引くぞ。ちらと見やる。人が私を覗き込んでいるのがわかる。
はじめて私は、今日なにかを世界に対して訴えかけた。嬉しい。ここで記憶は途切れる。