1/30 みんパタ暮らしの朝市

明日は『みんパタ暮らしの朝市』に出店します。 往来で人々が会話を交わす様を見ているのが好きでした。 車のスケールで町を拵えた愛知に越してからは、なかなかそういったものを目にする機会も乏しくなります。 みんパタの会場は、様...

ほしいもの

プラットホームで待っていると、ベンチに腰掛け電話している見ず知らずの女性の、その声に聞き惚れて、電車を一本見送ったことがある。いつまでも聴いていたかったからだ。池ノ上駅だったかな。 いつまでも聴いていたくなる、これを会話...

甘い香りのする

「あぶない!私の大声に驚いて身を引くと、指を切ってしまうぞ!…言わんこっちゃないっ」 介抱しようと駆け寄る男の表情は、まだ笑みの整わぬ赤子のそれに似た純然たる不自然さを帯びている。 雲を見て雲だと言ったのは私が初めてでは...

少しだけ塩気が欲しいとき

あすにでも鳥になりたいと、常々口にしているが、君の手にあるのはどうみてもホットケーキじゃないか? フランボワーズのソースが鼻をツンと刺して… ほんとうに安らぎをほんとうに欲する人々が、進んで安らぎを遠ざけているのはどうし...

自然な悲鳴

大声を上げて喚き泣く女を見て妻は演技だという。私の頭の中を駆け巡る想念が日本語を頼りに歩みを進めるように、彼女の嘆きというのも自然なものだったのではないか。口には出さなかった。私の考えはいつも遅すぎる後日譚だ。 ふいに懐...

カットアップ習作2

「素晴らしい目的地は右側です。お疲れさまでした」涙の乗車券を身を寄せ合って吹き上げた後は、唾抜きもそこそこにそこら中に散らばった譜面を拾い上げるシギたち。待ち人はモンゴメリー・ワードの薄汚れたボマー・ジャケットを羽織り、...