わたしを描いて

男の身体はとかく惨めだ。だってそうじゃないか?

頼まれてもいないのにせっせと朽ちてゆく。神はこの問題にダンマリを決め込んだままだ。それで、私たちは筆とインクを与えられた。

この世に生み落とされたありとあらゆる書物や絵画、音楽は目だ、それらは揃って思い思いの方へひざまづいているにも関わらず、等しく私たちに背中を向けている。

一歩足を進めること、それが常に私自身にそっぽを向くことになり、どう足掻いてもその中に指先ひとつ見出せぬような暗がりの最深部に私たちはあり、身を縮こまらせているか、あるいは目開きですらないのかもしれない。

私たちを描いて欲しい、細やかなペン先やパステルを掬い取った指で精緻にどこまでも精緻に。サヴィル・ローで誤魔化した肩口に蔓延る数々のホクロや指輪に締め付けられて赤く太った薬指など、母から見放されたものらである私たちを描いて欲しい。